この記事では、
- FXの典型的な失敗例
- それでもやってみたい場合のチェックポイント
- 損失が出た場合やれること
- 損益通算と繰越控除について
お話をさせていただきます。
日本人は「投資」には二の足を踏むにもかかわらず、「FX」は大好きな変な民族(笑)だと思うのですが、少額の手元資金で大きく儲けた!みたいな話を耳にすると、やってみたくなる気持ちもまあ分かります。
とはいえ、真っ当な「資産形成」を目的としている方には、まったくオススメしない というのが本記事の趣旨です。
それゆえ、ブログのカテゴリーも「資産を守る」にしてみました。
私自身の失敗も記していますので、思いとどまる、それでもやってみる、いずれの場合にも、なにがしか参考になりましたら幸いです。
FXの典型的な失敗例
いずれも私の実例です。反面教師としてご覧ください。
失敗例その1 新興国通貨のFXに手を出す
新興国通貨は、何も取引しなくても「毎日」「チャリンチャリン」と、スワップ金利が入ってくるのが謳い文句でした。
スワップとは
取引する通貨ペア間(例えばドルと円、トリコリラと円など)でのそれぞれの「金利差相当額」
通常、円にはほとんど金利が付かないため、円で他国の通貨を買うと、「その通貨との金利の差」の分だけ、スワップという名のお金がもらえるというものです。
- 南アフリカランド
- トリコリラ
- メキシコペソ
の順に、各FX会社が競って、口座開設にインセンティブをつけ、アフィリエイトも盛んに行われていました。
それが今ではすっかりなりを潜めてしまっています。
通貨の値動きが安定し、かつ金利の引き下げもなければ、スワップ金利は魅力的です。
でも実際は、新興国通貨は不安定で、スワップ以上に値は下がり、当初は高かった金利も下げ続け、結果マイナスがどんどん膨らんでいきます。
2016年に買ったトルコリラ円
昨年、4年にわたって保有していたトルコリラ円のポジションの解消しました。
以下が結果です。

- 買値:37.28円
- 約定価格:13.03円
- 為替差損:- 242,500円
- 累計スワップポイント:135,552円
長年保有していたポジションなので、スワップも相応に貯まっていたため、
-106,947円
でなんとか終わったという感じです。
ランド円、トルコリラ円、メキシコペソ円と、高金利というFX業者の謳い文句に乗せられて取引をされている方がいらっしゃいましたら、なるべく傷の浅い内に手を引くことを強くオススメします。
失敗例その2 値動きの大きな通貨のFXに手を出す
ポンド円に手を出していた時期がありました。
値動きの激しさゆえに、「殺人通貨、別名:悪魔の通貨」と呼ばれていることも知らず、セントラル短資FXを使って取引をしていました。
マイナスに沈んでいたものの、こちらも当時スワップ目的で保有を続けていたのですが、ちょっと仕事が忙しくなって、為替相場を見れない日が続いたある日、画面を開いたら、ポジションが全部消えて無くなってしまってました。
「強制ロスカット」です。
もう思い出したくも無いのですが、
一瞬なにが起こったかわからず唖然、「茫然自失」という言葉が、まさに当てはまった瞬間でした。
どうしてもFXをやりたい方へチェックポイント
FX自体はよく言われるとおり、「投資では無く投機=ギャンブル」の部類といっていいでしょう。
それを承知でやる分には個人の判断にはなるのでしょうが、折角貯めたお金を一瞬でなくす(FXではよく「溶かす」と言いますが、ほんとうに溶けます)ことが無いようにして欲しいです。
ということで、以下、FXをする上での心構え?をチェエクリストにしてみました。
FXを始めたい人 チェックリスト
少しクダけた感じの表現にしてみましたが、通常の資産運用に関しても言えることですが、『資産がマイナスになったときの耐性』って自分が想像している以上にみな弱いです。
という方は止めようがありませんが、それでも最初は、上述したような新興国通貨や値動きの激しい通貨は絶対に避け、ドル円のような組み合わせにしておくことが肝要です。
うまく行った場合のポイント
スゴイ利益をあげてる人がいるのは事実なので、中にはうまくいく方もいることでしょう。
その場合のポイントも以下に挙げてみます。
- ポジションを持っていないと不安=「ポジポジ病」に侵されないようにしましょう
- 「小さく勝って」積み上げた利益 → 「大きく負けて」一瞬で消えることがないようにしましょう
- ●●万円を達成したら止める → でもあともうちょっと → 全部飛ばす事態にならないようにしましょう
運良く巨万の富を築ける方が、何万人かに1人は出ると思います。
そんな方は、不動産や株式などのペーパーアセットの投資に軸足を移しましょう。
損失が生じた時にできること
損失が生じた際は「損益通算」をしましょう。
損益通算とは
一定期間内の利益と損失を相殺すること。
投資で得た利益には税金がかかります。一方で損失が出た場合は、利益から損失を差し引くことができ、その差額(儲かった分)だけ税金を払う(税金を減らす)ことができます。
損益通算できる範囲
損失が生じたときにはとても有効な損益通算ですが、損益通算ができるグループというものがあります。
以下が、FXの利益についての税法上の説明です。
FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」
損益通算は可能ですが、この「先物取引に係る雑所得等」のグループ内でしかできません。
そのため、
株式の利益
「株式等に係る譲渡所得等」という区分になるため、損益通算はできません。
ソーシャルレンディングの利益
こちらは雑所得になりますが、FXは「申告分離課税対象」のため損益通算できません。
仮想通貨の利益
こちらも雑所得になりますが、仮想通貨とも損益通算できません。
他の雑所得(公的年金等、原稿料・講演料など)
こちらとも分離して課税されるため損益通算できません。
と、かなり厳しい区分けになっています。
では何と損益通算できるかというと
FXの利益は「先物取引に係る雑所得等」と、上述しましたが、要は、
- 店頭取引・取引所取引両方のFX取引
- 大阪取引所で売買できる日経225等の先物取引
- 東京金融取引所の取引所CFD(株365)取引
とは損益通算できるというわけです。
②とか③は初心者にはちょっと敷居が高いかと思いますので、一般的なケースとしては、「FXのみ」と考えておいて良いと思います。
損失の繰越はできます
そんな仲間の少ないFXですが、損益通算を行った結果、その年の控除額を上回る損失が発生した場合は、翌年以降3年間に渡り、同様に繰越控除を行うことができます。
繰越控除とは
損益通算してもさらにマイナスになった場合は、損失を翌年に繰り越して控除することもできます。これを繰越控除といいます。
ただこの仕組みを使うには、
- 損失が発生した翌年以降
- 該当期間中は取引の有無にかかわらず
- 毎年確定申告を行う必要あり
なので、忘れないように注意が必要です。
確定申告は簡単
私の場合、サラリーマンではないので、毎年確定申告を行っています。
一見面倒くさそうですが、最近は自宅のPCから、特別な周辺機器も必要無く、申告が行えるので、とても便利になりました。
ちょっとした手間で相応のお金が戻って来ますので、やらないのはとても勿体ないです。
まだ未体験の方はぜひ今年の確定申告の時期にチャレンジしてみましょう。
- FXは投資ではなく投機なのでオススメはできない
- 新興国通貨や値動きの激しい通貨は絶対やめること
- どうしてもやりたい場合は向いているかをチェック
- 少額かつドル円からチャレンジ
- もし儲かったら、ちゃんとした投資に軸足を
- 損失は確定申告で、損益通算・繰越控除